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なぜ地方書店では本の発売が遅れてしまうのか

日本地図書店

~ある日の書店での会話。~

お客様
お客様

すみませーん。今日発売の『東京喰種(トーキョーグール)』の新刊ありますか?

店員(私)
店員(私)

申し訳ございません。こちらは明後日の入荷でございます。

男性
お客様

え!?今日発売じゃないんですか!?

店員(私)
店員(私)

九州だと入荷が2~3日遅れてしまうのです・・・申し訳ございません。

男性
お客様

そ、そうなんですね・・・。また来ます・・・。

 

これが実際に私が福岡の書店で働いていた時の出来事です。
福岡に限らず九州地方に住んでいる人はお客・店員に限らず同様の経験をした方は多いのではないでしょうか?

信じられないかもしれませんが、中国地方と九州地方はほとんどの本が発売日より遅れて入荷してしまうのです。

なぜこのようなことになってしまうのか。

そこには現在の出版業界が抱える大きな課題がありました・・・。

発売日に本が買えない!

雑誌の予告ページや出版社のホームページ、SNSなどに書いてある発売日は東京基準の発売日です

つまり、東京などの関東圏から遠くなればなるほど発売日は遅れてしまいます。

『ジャンプ』・『サンデー』・『マガジン』・『ワンピース』などの一部の本は発売日に合わせて入荷するものもありますが、『ワンピース』と同日発売の他のジャンプコミックスは1~3日遅れになるなど、発売日より遅れる本と遅れない本が出てしまいます。

しかし、基本的に遅れるのは本だけであり、ゲームやBD、CDなどは発売日通りに入荷します。

なぜ本だけこんなにも発売日がズレてしまうのでしょうか?

本の発売日=店頭に並べられる日ではない。

本の発売日とは店頭に届いてから店に並べられる日ではなく、
「出版社」から「取次会社」へ本が搬入される日のことです。

「取次会社」とは「本の問屋(卸業者)」のこと。

多くの本は主に「著者」→「出版社」→「取次会社」→「書店」→「読者」という経路で読者の手に届きます。

取次会社とは?出版業界の流通の仕組み

現在日本の出版社のほとんどが東京に集中しており、本は東京から地方へそれぞれ運ばれていきます。

つまり東京の出版社から地方の取次会社への搬入のタイムラグが地方書店で本の発売日が遅れる理由になります。

そして正確な入荷日は書店員に聞かないと分かりませんし、書店員ですら発売日直前にならないと分からない場合があります。(商品の入荷状況を管理するシステムの都合上仕方ないのです・・・)

もはや「発売日」の定義が曖昧ですね。

「だったら地方に行き届くのを考慮して発売日を調整すればいいじゃん!」と思ったりしますが、そうはうまくいかないのかもしれません。
(それができたらすでにしていると思いますし・・・。)

このため九州の人からすると本が遅れることはよくあることなのでもう慣れてしまっています。
私が鹿児島に住んでいた子どもの頃はコミックスが数日遅れることを計算して書店に買いに行っていました。

しかし、近年新たな問題によりさらに本が遅れることになりました。

物流業界の問題が出版業界にダメージ

2019年4月1日から中国・九州地方ではさらに1日遅れることになりました。

これにより中国地方では東京発売日より2日遅れ、九州地方では3日遅れで、土日が挟むとさらにそれ以上遅れることになりました。

理由はトラック運転手の長時間労働問題。

本の流通は鉄道を使う場合がありますが、大部分はトラックによる輸送です。

近年ドライバーの人手不足や労働環境の問題で多くの事件・事故が発生しています。

それを受け、出版物の流通を担う運送会社と取次会社等が協議した結果、ドライバーの負担を減らすため運ぶ量や頻度に制限が生まれ、本の発売日が遅れることになってしまったのです。

まとめ

本来なら週刊誌などの雑誌は速報性が売りでした。

しかし、今ではネットで情報を得ることができるためわざわざ本を買う必要がなくなりました。

このままだと

テレビやネットで報じられた記事を読みたい

・・・と思ったが店には届いていない。

じゃあこれからはネットニュースで見たり、電子書籍やネット通販で買ったほうが早い。

ますます本が売れなくなる。

という負のスパイラルが続いていきます。

私個人の話ですが、コミックスや小説は電子書籍で読めても、雑誌はまだまだ電子で読むことに抵抗があります。

そもそも雑誌は本で読む用に作られているため、大きさなどがスマホやタブレットで読むのに適していないからだと思います。

せっかく本で読むことに特化したものを欲しくなっても、遅れて入ってくるようだとますます雑誌を読む機会が減ってくるのではないでしょうか。

また、コミックスが遅れることは今までは普通だったので多少我慢はできたかもしれませんが、今ではSNSなどでネタバレをされてしまう可能性が高くなり、それを避けるため店頭で買う人がさらに減っていく恐れがあります。

現在地方書店は次々と数が減り、書店が無い町が増えてきています。
今後さらに業界が悪化していくと、将来的に書店はネットと都会でしか買えない貴重品になってしまうかのしれません。

ここまで読んでいただきありがとうございました。

 

参考記事:
中国・九州地域への雑誌配送に遅れ 形ばかりとなる「発売日」 ライブドアニュース

地方に「本が来ない!!」――物流危機で書店業界全体が「危機的状況」に ハーバー・ビジネス・オンライン

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